子どもと一緒に想像力を鍛えよう

 「子どもの考える力」を引き出すためのセミナーを実施します!題して「子どもたちの絆とを深める、心と脳の使い方 〜クリティカル・シンキング〜」。幼児教育関係者の方が対象です。詳細・お申し込みは、こちらです。
 Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです!
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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

我が家の息子はもう少しで5歳。最近は保育園であった出来事などもあれこれ報告してくれるようになりました。

これくらいの年齢の子どもはまだ語彙が少ないですし、「報告」と言ってもかなり断片的なものです。時系列や因果関係などを軽く越える自由〜な話のつむぎ方なので、そこには何とも言えない独特の味わいがあります。自分の思いを相手に一生懸命伝えようとするひたむきさも、この年齢の子どもならでは。でもそのひたむきな姿に、「伝える」ということの意義をあらためて教わることもあります。

そんな小さな子どもの話にずーっと耳を傾けていると、「あれ、さっきとつじつまがあわないよ」ということもしばしば。聞く側にはそれなりの理解力が必要なのですが、それがまたかわいらしく、楽しくもあります。

先日、そんな息子がお夕飯時に「エミリーときんのどんぐり」という絵本の話をしてくれました。保育園で先生が読んで下さったのがとても印象に残っていたようで、あらすじをせっせと披露し始めたのですが…

「エミリーが朝起きたらね、木が海賊船の旗になっちゃってて、それで、その旗が船になって、金色のどんぐりを見つけたんだけど、エミリーはそうしたらいなくなっちゃったの。イルカの背中にエミリーは乗ったんだよ」

…なぬ!?「木」ってどこの木?旗になってから船に化けたの?金色のどんぐりって魔法使いみたいな存在?どんぐりの精?いなくなっちゃってからイルカに乗ったの?それとも、イルカに乗ったから「いなくなっちゃった」の?それに、この話のオチって何??

頭の固い「大人」の私には、理解できないことだらけ。理解できないからこそ、どうしてもこの話の全貌を知りたい!という思いがますます強くなりました。

そして小3の娘と二人、息子の話では語られていない、この絵本のお話の「空白」を埋めるために、あれこれ質問してみることにしました。

「ねえ、その木って、ある日いきなり海賊船になっちゃったの?」
「なんでどんぐりが金色なの?」
「なんで金色のどんぐりを見たらエミリーがいなくなっちゃうの?」
「金色のどんぐりってどこから出てきたの?」
「エミリーがいなくなっちゃった間、お父さんやお母さんは心配しなかったの?」

もう、質問攻めです。でも息子は、自分の話に母親と姉がすさまじい興味を示しているのが嬉しいのか、とても誇らしげに一生懸命答えてきます。

それでも、やはり4歳児の息子の答えには「限界」があり…例えば「金のどんぐりがはしごにささってたんだよ」と言うので「なんで?」と尋ねると「うーん…」と返答に困った様子。

そこで、私と娘とで、「なぜ金のどんぐりがはしごにささっていたのか」という理由をあれこれ想像して言ってみました。

私「すごい風が吹いてきて、どんぐりはきっと、はしごにはまっちゃったんだ」
息子「 ちがうよ、はしごに『はまった』んじゃなくて『ささった』んだよ」
娘「誰かがはしごに金のどんぐりを刺しておいた、とか?」
息子「ブッブー」
私「じゃあ、どんぐりは妖精なんだ、だから、はしごに自分から刺さっていったんだ」
息子「ちがうよ、どんぐりは妖精じゃないよ」
娘「わかった!そのはしごはもともとどんぐりの木でできていて、だから最初からささっていたんだ」
息子「あたりーぃ」

果たして本当のお話はどうなっているのか未だにわかっていないのですが、こんなQ&Aセッション(?)を20分ぐらいは続けたでしょうか。

お話の「空白」を埋めるべく、想像力を使ってあれこれ可能性を考えるのは、もう、ほとんどブレスト(brainstorming)です。答える度に息子にダメ出しされながらも、これは想像力がとても鍛えられるなぁ、と感じました。

大人にしても、子どもにしても、「考える力」に想像力は欠かせません。相手の言い分を理解したり、相手の立場に立って考えるためには、「私があの人だったらどう考えるかな」という、柔軟な想像力が必要になってくるからです。

そして、この想像力。訓練すればどんどん磨かれていきます。

小さい子どもの話を聞くことによって磨ける、想像力。皆さんも、小さな子どもの「お話の空白を埋めること」、是非、試してみませんか。

こちらの想像力が磨かれることはもちろん、親子のコミュニケーションも盛り上がりますし、子どもたちはコミュニケーションすることの楽しさを体感してくれると思います。

そして、何よりも、普段なら受動的に聞きがちな「子どもの報告」にお父さん・お母さんが積極的に加わってきてくれることが、子どもにとってはこの上なく嬉しいのかもしれません。

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いじめと、考えるということ

 「子どもの考える力」を引き出すためのセミナーを実施します!題して「子どもたちの絆とを深める、心と脳の使い方 〜クリティカル・シンキング〜」。幼児教育関係者の方が対象です。詳細・お申し込みは、こちらです。
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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

先日テレビで、茨城県の市立中学がいじめへの独自の取り組みを始めた、というニュースを見ました。いじめについて「考えさせる」授業をやっている、というのです。

テレビでは、先生が生徒たちに「いじめを苦に死にたい、という少女の気持ちを考えてみよう」「どんな時に生きてるって感じる?」などの問いかけをしている授業風景が映し出されていました。

生徒たちから出た意見を、先生が一つ一つ「そうか」「そうだね」と受け止めている様子が深く印象に残っています。授業を終えてから取材に応じた生徒たちは、生きるということや、いじめられている人の気持ちを考えることは大事だと思った、とコメントしていました。

いじめの問題。教育現場にいる者として、親として、そして、社会の一員として、色々考えてきたのですが、このニュースを見て「考える力はやはり、子どもたちが日常を生きていくために不可欠」という思いをあらたにしました。

生きることについて考えたり、いじめられている人の気持ちになって考えればすぐにいじめがなくなる、というほど単純な話ではないと思います。でも、この中学のような取り組みを続けていけば、大事なことに気づく子どもが増えるはずだ、とも思うのです。「命の尊さ」という言葉の意味を、考えることを通してより多くの子どもがそれぞれのやり方で理解していくのではないか—先日のニュースは、そんな希望を抱かせてくれました。

私は「考えること」を教える時にはいつも、「いちばん大事なことは何?」「自分以外の立場に立って考えてみよう」としつこく子どもたちに言っています。自分にとって「いちばん大事なこと」がわからないときちんと考えることはできませんし、ひとりよがりにならないためには、自分以外の立場に立って考えることがとても大切だからです。

自分にとっていちばん大事なことがわかれば、自信が芽生えてきます。そして、自分とは違う人の立場に立って考えることは、思いやりや多様性を理解することに必ずつながっていく、と信じています。

自分にとっていちばん大事なことを見つけることも、自分とは違う人の立場で考えることも、決して簡単な作業ではありません。本気でやってみると、本当に消耗します。私は小学生も大学生も教えていますが、この二つのことをとことんやり抜いた教え子たちは皆、「疲れたぁ、もうやだぁ」と言います。

でも、「もうやだぁ」の先には、よりハッピーな毎日が待っていた、ということも皆少しずつ体感してくれているようです。

「考える力」は勉強よりも何よりも、子どもたちのよりハッピーな毎日と未来のためなんだよ、ということをもっと多くの人に理解してもらいたいです。

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