月別アーカイブ: 2012年6月

好きなものの「理由」を考えることの難しさ

☆ Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです!
☆ 9月開講の「ママのためのクリティカル・シンキング講座」(全10回)の申し込みが始まりました。(詳細・申し込みはこちらのページの下部にございます)
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☆ 「ボクたち、ワタシたちだってかんがえるよ!〜年中・年長さん向けの<考える>プログラム〜」はおかげさまで定員に満ちたため、申し込みを締め切らせていただきました。第2弾も企画しておりますので、ご期待下さい。
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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

私は大学で長年「英語の論文指導」の授業をしているのですが、その授業で学生たちに最初に取り組んでもらう課題が「卒業論文のテーマになりそうな『自分の好きなこと』を見つける」です。

日本でずっと教育を受けてきた若者にとって、実はこの課題はけっこう手強いのです。自分は何が好きなのかわからない、「自分の好きなこと」はわかってはいるけれど今までそれについて落ち着いて考えたことがない、「好きなこと」をめぐる考えをどうやって発展させればいいのかわからない、などなど…学生の悩みは様々です。

日本の大学生が英語で論文を書くというのは並大抵のことではありません。だからこそ「本当に好きなこと」について書いてほしい、と思っています。自分と向き合って、じっくりと「私は何が好きなのか」ということを考えてもらいたいのです。

自分が本当に好きなこととは果たして何か。私は○○が本当に好きなのか。この問いに答えるためには「私はなぜ○○が好きなのか」という質問を問い続けることが大事だと思います。なぜ?なぜ?としつこいぐらいに問い続けることによって、自分は「○○」が本当に好きなのか、自分とはどういう人間なのか、もしかしたら本当に好きなことは「○○」じゃないのかも…ということがおぼろげながらわかってくる、と思うのです。

しかし、これが難しい。「なぜ好きなのか、答えが出て来ないんです。行き詰まっちゃいました」と悩みを打ち明けてくれる学生もいます。大人でも、好きなものの「理由」を見つけるのは難しい、と感じる人は多いようです。悩みを相談してきた学生とは、いつもとことん対話することにしています。

例えば、Aという映画が好きなB子さん。「なぜAが好きなの?」と聞くと、最初に出てくる答えはたいてい「すごく感動したから」といった類いのものです。そこでさらに「なぜすごく感動したの?」と尋ねると「うーん、主人公とその奥さんの話がすごく感動的で…夫婦っていいなぁって」と少々話が具体的になってきます。今度は「B子さんは、夫婦を扱った映画って大体何でも好きなの?」と聞いてみると「えー、どうだろう…」と、ここまで来るとしばし考え込んでしまう人が多いようです。

想像力をめぐる論でも知られる、アメリカの詩人 Lewis Hyde 氏はその著  The Gift の中で、<あるもの>の価値を見つけるためには、その<あるもの>を自分から切り離して客観視しなければいけない、と言っています。また、「我々は、<あるもの>を他のものと比較することによって、そのものの価値を導きだす」とも書いています。

学生のみならず、私たちが「なぜ私は○○が好きなのか」という問いに対して明確な答えが出しづらいのは、Hyde氏の説に沿って言えば、その「好きなもの」を自分から切り離して客観視しなければいけないから、という側面もあるのではないでしょうか。

まずは、「好き!大好き!」という気持ちをしばらく「保留」しておいて、客観視してみる。その上で、何か別のものと比較してみる。上の例で言うと、Aという映画と「夫婦を扱った映画全般」を比較した問いが、これにあたりますね。

「好きなもの」と「それを好きな自分」を客観視する。意外に思われるかもしれませんが、これが得意な小学生もいます。その子どもたちの「ボク・私が○○を好きな理由」を聞いていると、たいていは「○○」以外のものと比較したり、「もしも○○がなかったら…」という架空の状態と現実とを比較して説明しているようです。

週を追うごとに、「好きなことが見つかりました!」と晴れやかな笑顔を見せてくれる学生が増えてきました。自分だけの「答え」が見つかるまでにかかる時間は人それぞれ。焦らず、じっくり、一緒に考えていければ、と思っています。

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幼稚園・保育園児の「考えるプログラム」

Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです!
9月開講の「ママのためのクリティカル・シンキング講座」(全10回)の申し込みが始まりました。(詳細・申し込みはこちらのページの下部にございます

こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

Wonderful☆Kidsでは主に、小学生とその保護者の方を対象とした「考える力を伸ばすプログラム」を提供していますが、この度、かねてからご要望の多かった、幼稚園児・保育園児さん向けのプログラム—「ボクたち、ワタシたちだってかんがえるよ!〜年中・年長さん向けの『考える』プログラム」—を開催することが決定しました(財団法人IWCJさんとの共催で、申し込み・詳細はこちらです)。

「未就学児童向けの考えるプログラムも、是非やってください」というお声を今までもたくさんいただいていたのですが、どうしうても納得のいくプログラムが作れず、研究と試行錯誤を重ねてきました。今回の4-6歳児向けのプログラムは、満を持してのご提供になります。

定員は、8名。8名の小さな子どもたちが、「なぜ傘をさすの?」「なぜハミガキするの?」「なぜお友だちと遊ぶの?」など、小さな子どもが得意とする、身近な「なぜなぜ問題」にチャレンジ。お友だちと一緒に考えて、楽しみながら自分なりの答えを出していきます。本プログラムは、私が「なぜなぜ問題」を投げかけ、子どもたちがそれに口頭で答える、というスタイルで進めます。

「なぜ?」は「ひらけ、ゴマ!」と同じ、魔法の言葉です。なぜ?と問うことから「考える」世界が広がります。

「なぜ?」と一言で言っても、実は世の中には色々な「なぜ?」があります。目的を問うもの、因果関係を問うもの、情緒的な側面を問うもの、などなど。どうやら、男の子と女の子とでは、それぞれ得意な「なぜ?」の種類が違うようです。おもしろいですよね。

そして、「なぜなぜ問題」の「正解」は一つではありません。「正解」は子どもの数だけ、あるいは子どもの数よりもあるかもしれません。どんな答えも価値がある、一生懸命考えることがすばらしい—という理念のもと、子どもたちに何よりも「考えることの楽しさ」を体感してもらいたいと思います。考えて、皆の前で答えを言うことを通して、この時期の子どもの中に芽生えはじめた論理性と、自分の意見を発信することの喜び、そして、自分以外の意見を尊重する気持ちとを、育てます。

子どもたちに「考えるって楽しい!」と思ってもらえるように、今回は、普段のプログラムにはない、様々な仕掛けをご用意していますので、どうぞお楽しみに…

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