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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。
私は大学で長年「英語の論文指導」の授業をしているのですが、その授業で学生たちに最初に取り組んでもらう課題が「卒業論文のテーマになりそうな『自分の好きなこと』を見つける」です。
日本でずっと教育を受けてきた若者にとって、実はこの課題はけっこう手強いのです。自分は何が好きなのかわからない、「自分の好きなこと」はわかってはいるけれど今までそれについて落ち着いて考えたことがない、「好きなこと」をめぐる考えをどうやって発展させればいいのかわからない、などなど…学生の悩みは様々です。
日本の大学生が英語で論文を書くというのは並大抵のことではありません。だからこそ「本当に好きなこと」について書いてほしい、と思っています。自分と向き合って、じっくりと「私は何が好きなのか」ということを考えてもらいたいのです。
自分が本当に好きなこととは果たして何か。私は○○が本当に好きなのか。この問いに答えるためには「私はなぜ○○が好きなのか」という質問を問い続けることが大事だと思います。なぜ?なぜ?としつこいぐらいに問い続けることによって、自分は「○○」が本当に好きなのか、自分とはどういう人間なのか、もしかしたら本当に好きなことは「○○」じゃないのかも…ということがおぼろげながらわかってくる、と思うのです。
しかし、これが難しい。「なぜ好きなのか、答えが出て来ないんです。行き詰まっちゃいました」と悩みを打ち明けてくれる学生もいます。大人でも、好きなものの「理由」を見つけるのは難しい、と感じる人は多いようです。悩みを相談してきた学生とは、いつもとことん対話することにしています。
例えば、Aという映画が好きなB子さん。「なぜAが好きなの?」と聞くと、最初に出てくる答えはたいてい「すごく感動したから」といった類いのものです。そこでさらに「なぜすごく感動したの?」と尋ねると「うーん、主人公とその奥さんの話がすごく感動的で…夫婦っていいなぁって」と少々話が具体的になってきます。今度は「B子さんは、夫婦を扱った映画って大体何でも好きなの?」と聞いてみると「えー、どうだろう…」と、ここまで来るとしばし考え込んでしまう人が多いようです。
想像力をめぐる論でも知られる、アメリカの詩人 Lewis Hyde 氏はその著 The Gift の中で、<あるもの>の価値を見つけるためには、その<あるもの>を自分から切り離して客観視しなければいけない、と言っています。また、「我々は、<あるもの>を他のものと比較することによって、そのものの価値を導きだす」とも書いています。
学生のみならず、私たちが「なぜ私は○○が好きなのか」という問いに対して明確な答えが出しづらいのは、Hyde氏の説に沿って言えば、その「好きなもの」を自分から切り離して客観視しなければいけないから、という側面もあるのではないでしょうか。
まずは、「好き!大好き!」という気持ちをしばらく「保留」しておいて、客観視してみる。その上で、何か別のものと比較してみる。上の例で言うと、Aという映画と「夫婦を扱った映画全般」を比較した問いが、これにあたりますね。
「好きなもの」と「それを好きな自分」を客観視する。意外に思われるかもしれませんが、これが得意な小学生もいます。その子どもたちの「ボク・私が○○を好きな理由」を聞いていると、たいていは「○○」以外のものと比較したり、「もしも○○がなかったら…」という架空の状態と現実とを比較して説明しているようです。
週を追うごとに、「好きなことが見つかりました!」と晴れやかな笑顔を見せてくれる学生が増えてきました。自分だけの「答え」が見つかるまでにかかる時間は人それぞれ。焦らず、じっくり、一緒に考えていければ、と思っています。
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