こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。
「3-4歳の子どもには critical thinking を教えてくれないんですか」と聞かれることが増えました。ご興味を持って下さった皆さま、本当にありがとうございます。原則、critical thinking は言葉を使う作業なので、言葉によるコミュニケーションがある程度完成している小学生以上が対象なんです、とお答えしています。けれども最近、critical thiking の「基礎の基礎」として、3-4歳の子どもに教えられることもあるのではないか、と思い始めました。
そこで、我が息子(もうすぐ4歳)を相手にちょっとした試みを始めました。まだ始めたばかりですので、これが果たして「レッスン」としていずれ確立できるかどうかはわからないのですが、今日は、経過報告、ということでお話をさせて下さい。
critical thinking と言うぐらいですから、とにかくキモは「考える」ことです。それも、自分の頭で。だから、こちらが正解を決めてしまうのは基本的にはNGです。一方で、幼稚園の年少さんぐらいだとまだ理屈があまり理解できないので、「なんでも正解」としてしまうと、とんでもなくシュールなやり取りがかわされる可能性もあります(それはそれで楽しいんですけれど)。
以下、保護者の方が日々実践できそうな「critical thinking の素」をリストアップしてみました。
①なんでも理由を尋ねてみる 「○○がすきなの〜」「○○したい〜」と来たら、「なんで?」とすかさず聞きます。うちの子の場合は、「どうして電車が好きなの?」などと尋ねると「ウンチだから!!」とすさまじい応答をすることもありましたが、へこたれてはいけません。とにかく、「なんで?」と聞き続けて、理由を考えるクセをつけてあげて下さい(なぜなら、理由を考えることは、critical thinking の基本中の基本だからです)
②「なんで○○なの?」と聞いてきたら、「なんでだと思う?」と聞き返す 考えることのけっこういい訓練になります。親が即答できない「なんで」質問も、「なんでだろうね、どう思う?」と一緒に考えてみると、思いがけない発想に巡り会えたりしますよ。
③子どもに何か説明をする時は、必ず「理由」を添える 大人がいつも理由を添えて説明してあげれば、子どもは感覚的に「理由を言うのが当たりまえ」と思うようになります(ただし、やり過ぎに注意した方がいいかもしれません。おそろしく理屈っぽい子どもができあがる可能性もアリ)。
以上3つは、私が小学生の娘相手にかつて行なっていたことです。
そして、つい最近始めたのが次の項目です。
④質問をどんどん掘り下げて、考えを発展させてやる 息子が今朝、ベビーカーを押している女性を見て、「ベビーカーもバスに乗れるんだよ」と言ってきたので、「じゃあ、ベビーカーを持っている人は、バスのどこに乗るでしょうか」と質問してみました。私は、バスの中にある、ベビーカー専用の「優先席」のことを想定してこう聞いたのですが、息子の答えは「バスの中」。たしかに、バスの上や下には乗れないですね。そこで、「お、いいねぇ。じゃあ、ベビーカーを持ってる人は、バスの中のどこにすわるの?」と尋ねると「イス」。また納得。床や階段の上には普通、すわりませんよね。「うまい、うまい。どこのイス?前?うしろ?真ん中?」「真ん中」(ベビーカー用の席は通常バスの中央部にあります)。
ここで大事なのは、子どもがどんな答えを言ってきても、肯定してあげることだと思っています。肯定しつつ、話を先に進めて、さらに細かく考えさせてやると同時に、考える「道すじ」のようなものを大人が示してあげることが重要なのではないか、と思います。
また、子どもを叱るときに「視点の転換」に注意を向けさせることも大事かと思っています。たとえば、息子がお姉ちゃんのことをぶったら、「自分もぶたれたらいやでしょ?」ではなく、「ぶたれたお姉ちゃんは、どう思ってるかな」と、相手の立場に立って考えさせるということです。まだ小さいので、こちらの思惑通りの反応は返ってきませんが、いずれ、視点を変えることが感覚的に身につくのでは…と淡い希望を抱いています。
さて、どうなりますか。後日ご報告できるような進展があるといいのですが。