難クセをつけてくる人の対処法

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

今日のテーマは「難クセをつけてくる人をいかに対処するか」です。一見 critical thinking とは無関係に思えるかもしれませんが、実は深く…いえ、not closely but importantly(深くではないですが重要な形で)と言った方が適切ですね…関係しているんです。

critical thinking やスピーチ力を駆使して(時には根回しして)すばらしいプレゼンをしても、「難クセ」をつけられてしまうことってありますよね。職場でも学校でも(あるいはプライベートでも)起こり得ることです。時期尚早だ、予算がない、などのもっともらしい批判を受けることもありますし、自分とは違う派閥に属する人が意図的に攻撃してくることだってあります。たまたま機嫌の悪かった上司やパートナーが八つ当たりしてくる、ということもあり得ない話ではありません。

私は大学の critical thinking の授業では必ず “Buy-in: Saving your good idea from getting shot down” という本を読ませることにしています。ハーバード・ビジネススクール教授の John P. Kotter 氏 と ブリティッシュ・コロンビア大学教授である Lorne A. Whitehead 氏によるもので、サブタイトルにもあるように、「良いアイディアを攻撃から守る」ための攻略本のようなものです。ちなみに、buy-in は「株の買い付け」のことですが、本書の文脈では「良いアイディアとして支持してもらうこと」と解釈することもできます。

critical thinking で作り上げたせっかくのアイディアも非論理的にやっつけられたのではたまらないので、学生たちには「いざというときの備え」としてこの本を読んでもらっています。具体的なアドバイス満載で、特に社会人にはおススメの一冊です(翻訳はないようです…と先日こちらに書いたら、この記事を読んで下さった方が「翻訳ありますよ」と教えて下さいました。ありがとうございます。「ハーバード流 企画実現力」というタイトルで出ているようです)。

たとえば、プレゼンで何か新しい試みを提案した場合に「予算がない」という難クセをつけられたら「意味のある変化というものは、往々にして限られた予算内でなされるものだ」と反論せよ、とあります。また、「今のところ何の問題もないのだから、新しい試みなど必要ないだろう」と言われたら「おっしゃる通りです、でも、変化に適応しない者はいずれ撲滅する、とは歴史が証明しています」と言い返せ、などなど。(こうやって日本語に訳してみると少々語調が強く感じられますね)

どんな難クセが登場しても対処法のポイントは以下の2つに集約されるようです:

  1. 相手を尊重しつつも相手の質問に振り回されないこと
  2. 自分の信じるところと永遠の真理だけをなるべく言葉少なに語ること

難クセの対処法を身につければ必ず自分の意見は通る…というほど現実は甘くはありませんが、知っておくと、(日々のちょっとした口論を含め)けっこう色々なシーンで応用がきくのではないか、思います。

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