わかりやすく説明する、ということ:Da Vinci in a box

こんにちは。「子どものためのCritical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

大学の英語の授業で私はよく「わかりやすく説明するための訓練」、つまり、聞き手の「タイプ」に応じて説明のしかたを変える、という練習を学生たちにさせています。場合に応じて説明のしかたを変えるという作業は、実社会では特にプレゼンなどでその重要性が指摘されますが、実は、日々のちょっとしたコミュニケーションをはかる上でもとても重要なポイントですよね。

授業では色々な聴衆を想定して、「宇宙人に『傘』を説明する」(これは実際にTOEFLのテストで出題されたものだそうです)「幼稚園生にインターネットを説明する」などのお題を学生に投げかけます。「宇宙人ってそもそも『雨』って知ってるのかな」「幼稚園生は『情報』って言ってもわからないよね」と学生は試行錯誤しながら説明文を練り、最後にプレゼンをします。

皆あれこれ工夫してくるのですが、「コンピューターを18世紀人に説明する」という少々シュールなお題のプレゼンはその中でも秀逸でした。言葉遣いは100%この通りではなかったかもしれませんが、大体こんな感じでした:

I’d like to explain what a computer is. OK. You have a box. Inside the box, there’s Leonardo da Vinci. As you know, da Vinci is so clever, and this da Vinci in the box does so many things for you: remembering things, teaching you what you don’t know, calculating, etc., etc.

(コンピューターとは何か、説明をしたいと思います。えー、まず、箱があります。その箱の中にはレオナルド・ダヴィンチが入っているんです。ご存知のように、ダヴィンチはたいそう賢いですよね、この箱の中にいるダヴィンチも記憶したり、知らないことを教えてくれたり、計算をしてくれたりなど、色々なことをしてくれます)

21世紀の私たちにとって、コンピューターは「多方面に色々なことをしてくれる便利な道具」とも言えると思います。それを18世紀人により身近に理解してもらうために、この学生が引き合いに出したのがダヴィンチ(多方面にわたって頭のいい存在)でした。実際に18世紀人がどれだけダヴィンチを身近に感じていたか、浅学にしてわかりませんが。

「わかりやすい説明」を支える要素は色々あります。論理構成や話す順序、話すスピードなども大事な要素ですが、聞き手にとって身近な例を引き合いに出すとインパクトもあるし、説得力が増すのですね。

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