投稿者「miki」のアーカイブ

英語を話すときに「はずかしい」と感じているのは男性?女性?

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

男性よりも女性の方が、英語を話すときに「はずかしい」と感じやすいのかもしれない、ということを以前書きました。「英語を話すときの、はずかしいという気持ち」という記事を読んで「私もはずかしいって感じます」と反応してきて下さった方の多くが女性だったからです。

その時以来、はずかしいという気持ちをめぐる男女差というものがずっと気になっていました。先日、(老練)精神分析医の方にお会いしたので、「女性の方がはずかしいって思いやすいのでしょうか」と尋ねてみると…

「そんなことないんじゃないかな、男性はけっこうはずかしいっていう気持ちが強いからね。女性と男性とでははずかしさの出し方が違うってことじゃないかなぁ。男性にとって大事なのは『達成』で、女性にとって大切なのは『関係』だからね」と教えて下さいました。

社会言語学などの分野でも同じような説明を聞いたことがあります。つまり、男性は「自分はこんなすごいことを成し遂げたんだ」ということをアピールするために言語でコミュニケーションをはかり、女性は「私は偉くなんかないし、あなたと同類よ、味方なのよ」ということを表現するために言語を使う、というのです(この辺りの議論は、Deborah Tannen 氏のベストセラー “You Just Don’t Understand” にわかりやすく書かれています)。少々乱暴に単純化してしまうと、(そう思っているかどうかはさておき)男性は「俺はお前より偉いんだ」と表現する傾向があり、女性は「私なんてたいしたことないの」と表現することが多い、と言えると思います。

親子で楽しみたい!? critical thinking」でも触れましたが、現象(=「英語を話すときにはずかしいと感じる」とコメントしたのは圧倒的に女性が多かった)を考える場合には、説明可能な原因をあれこれ考え出して、ひとつひとつ検証する必要があります。今回の現象の原因として考えられるのは…たとえば、コメントしてきた人がたまたま女性が多かった、私が女性なのでやはり女性がコメントしやすい、「類は友を呼ぶ」からか私の周りにははずかしいと感じやすい女性が多い、などがありますね(他にどんな原因があり得るか、ちょっと考えてみると critical thinking のトレーニングになると思います)。

そして、「男女では、はずかしさの表現方法が違う」という説明も可能だと思うのです。「こんなすごいことを成し遂げたんだ」と主張しがちな男性は「はずかしい」と表現したがらないかもしれませんし、一方で「あなたと同類なのよ」と主張する傾向のある女性は、私(=狩野)が「はずかしい」と言えば「私もはずかしいわ」と同調することだってあり得る、ということですね。

男性と女性とでは、どちらが英語を話すときによりはずかしいと感じるのか。そもそも「男性は」「女性は」と一般化してしまっていいのか(過剰な一般化は critical thinking の NG 項目です)。この問題を解くためのリサーチは、まだまだ続けていこうと思っています。何かおもしろい資料などありましたら、是非教えていただけると嬉しいです。

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難クセをつけてくる人の対処法

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

今日のテーマは「難クセをつけてくる人をいかに対処するか」です。一見 critical thinking とは無関係に思えるかもしれませんが、実は深く…いえ、not closely but importantly(深くではないですが重要な形で)と言った方が適切ですね…関係しているんです。

critical thinking やスピーチ力を駆使して(時には根回しして)すばらしいプレゼンをしても、「難クセ」をつけられてしまうことってありますよね。職場でも学校でも(あるいはプライベートでも)起こり得ることです。時期尚早だ、予算がない、などのもっともらしい批判を受けることもありますし、自分とは違う派閥に属する人が意図的に攻撃してくることだってあります。たまたま機嫌の悪かった上司やパートナーが八つ当たりしてくる、ということもあり得ない話ではありません。

私は大学の critical thinking の授業では必ず “Buy-in: Saving your good idea from getting shot down” という本を読ませることにしています。ハーバード・ビジネススクール教授の John P. Kotter 氏 と ブリティッシュ・コロンビア大学教授である Lorne A. Whitehead 氏によるもので、サブタイトルにもあるように、「良いアイディアを攻撃から守る」ための攻略本のようなものです。ちなみに、buy-in は「株の買い付け」のことですが、本書の文脈では「良いアイディアとして支持してもらうこと」と解釈することもできます。

critical thinking で作り上げたせっかくのアイディアも非論理的にやっつけられたのではたまらないので、学生たちには「いざというときの備え」としてこの本を読んでもらっています。具体的なアドバイス満載で、特に社会人にはおススメの一冊です(翻訳はないようです…と先日こちらに書いたら、この記事を読んで下さった方が「翻訳ありますよ」と教えて下さいました。ありがとうございます。「ハーバード流 企画実現力」というタイトルで出ているようです)。

たとえば、プレゼンで何か新しい試みを提案した場合に「予算がない」という難クセをつけられたら「意味のある変化というものは、往々にして限られた予算内でなされるものだ」と反論せよ、とあります。また、「今のところ何の問題もないのだから、新しい試みなど必要ないだろう」と言われたら「おっしゃる通りです、でも、変化に適応しない者はいずれ撲滅する、とは歴史が証明しています」と言い返せ、などなど。(こうやって日本語に訳してみると少々語調が強く感じられますね)

どんな難クセが登場しても対処法のポイントは以下の2つに集約されるようです:

  1. 相手を尊重しつつも相手の質問に振り回されないこと
  2. 自分の信じるところと永遠の真理だけをなるべく言葉少なに語ること

難クセの対処法を身につければ必ず自分の意見は通る…というほど現実は甘くはありませんが、知っておくと、(日々のちょっとした口論を含め)けっこう色々なシーンで応用がきくのではないか、思います。

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