伝える力に欠かせない、注目のランゲージ・アーツとは?

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伝える力に欠かせない「ランゲージ・アーツ (Language Arts、略してLA) 」。

ランゲージ・アーツって何ですか。

と最近よく訊かれます。

ランゲージ・アーツとは 分析と議論を重ねることで手に入れる「言葉の技・スキル」のこと。

Language Arts がなぜ「言葉の技・スキル」という意味になるのですか、というご質問をよく受けます。artという言葉のもともとの意味は「学び、練習した結果手に入る技・スキル」。LAは言葉(Language)の、「学び、練習した結果手に入る技・スキル」 (Arts)を扱う科目なのです。

欧米ではLAは数学や歴史などと並ぶおなじみの教科。特にアメリカの学校では「国語」(English)の授業を Language Arts と呼ぶこところもあります。文章を多角的に分析することで考える力を鍛え、自分の考えを効果的に伝えるスキルを実践的に学ぶ。それがLAです。

「自分の考えを効果的に伝えるスキル」は必須の力。これが実践できるのとできないのとでは人生が大きく変わってきます。効果的に伝えられないと、誰かに何か大事なことを伝えても「よくわからない」と言われて終わってしまいます。言葉をしっかり使って指示しないと、AIにも理解してもらえません。一方、効果的な伝え方ができればAIも使いこなしやすくなり、プレゼンテーションや小論文、入試や就職などの自己PRも得意になります。より良い未来のために人を動かすこともできます。

ところが残念なことに、この必須の力、国語の授業ではほとんど教えてくれないのが現状です。

・国語とランゲージ・アーツの違い

国語では主に語彙力と読解力が求められます。一方、ランゲージ・アーツ (LA) では、語彙力・読解力はもちろん、科学者のような緻密な観察眼と論理力、問いを立てる力が求められます。ここが国語との大きな違いです。また、アーティストのような想像力、仲間と議論できる力、他者への寛容な目線も磨かれます。さらには、言葉の技・スキルを実践することで効果的な伝え方が確実に身につきます。

具体的にどういうことなのか、実際どんなことをやるのか、以下簡単に説明させてください。

①    科学者のような緻密な観察眼・論理力・問いを立てる力

たとえば、あなたが読んでいる文章に「いのち」という言葉が繰り返し出てきたとします。数えてみると計30回。10ページ足らずの文章に30回はさすがに多いのでは、と気になって同じ作者の別の文章を調べてみると、同じ言葉をそこまで使ったものは見当たりません。ということは、この文章の「いのち」には何か深い意味があるのではないか。でもそれは何?仮に「いのち」を「生きること」や「人生」と書き換えたら、意味は、効果はどう変わる?「いのち」とひらがなになっているけれど、他にもひらがな表記にこだわっている箇所はある?

LAでは目の前の文章について、自らこのような問いを立てることから始めます。気になった言葉・表現を自分で探して「なぜ?」を深掘りする。問題集や教師が用意した問いに受動的に答える国語とは大違いです。

「いのち」という言葉の繰り返しに気づき、回数を調べ、別の文章と比較し、仮に違う表現を使ったら…と条件を設定して考える—これはすべて、観察し、論理的に考察する科学者の態度です。このようにして問いを立てたら、答えを探すべく文章を精読し、論理的に分析していきます。

科学がそうであるように、LAも正しい方法論をしっかり教わり、指導を受けながら鍛錬してこそ花開きます。だからこそじっくり時間をかけ、レッスンとして学ぶ必要があるのです。

②   アーティストのような想像力

LAではアーティストのような、何にもとらわれない目も必要です。たとえば、先ほどの「いのち」の文章を読んだ生徒が、「作者はなぜ『いのち』とひらがなにしたのか」と問いを立てたとします。「命」「生命」という漢字を使うこともできたのに…漢字表記が嫌いなのかな…もしかしたらひらがな3文字と、イ段で始まって(「い」)イ段で終わる(「ち」)見た目にこだわったのでは…この作者は一文一文が短いけど、文の短さとも関係があるのかな、などと考えたとします。

文字数や「イ段」などに注目するのは、国語の感覚からすると突拍子もないことかもしれませんが、LAでは大歓迎です。LAは読解だけでなく、作者の言葉選びや表記の見た目、音としての響き、文の長さや構造などにも自由な目を向けて「作者がこの言葉・表現を選択したのはなぜ?目的は何?」と多角的に掘り下げていきます。

想像力を駆使しつつもしっかり分析しながら、「この言葉をこの文脈で使うとこんな効果が生まれるのでは」「作者は〇〇と伝えたかった。そのためにはこの表現の技やスキルを使うことが必然だったのでは」と考えていく。こう考え続けることで、伝えるとは何か、効果的な伝え方とは何か、だんだんわかってきます。

③   仲間と議論できる力、他者への寛容な目線

LAでは自分の考えを皆と共有、議論します。他者と意見をぶつけ合えば考えはさらに深まります。LAを学ぶとは、議論できる力、他者の意見を認める寛容さを磨くことでもあるのです。

私はLAと考える力を徹底的に使って伸ばすLAMJ (Language Arts of My Japanese)コースのカリキュラムと指導を2022年より行なっていますが、このコースの生徒たちは分析と議論を経て解明した「言葉の技・スキル」を自分の文章に応用、作文を書いたりプレゼンテーションを行ったりしています。こうすることで、効果的な伝え方の実践力を確実につけます。

たとえば、作家・江國香織が使った「結末で読者を驚かせる技・スキル」を解明したら、自分の身に起こった「驚いた話」に応用して作文してみる。以下はLAMJの生徒が実際に書いた文章ですが、言葉の技・スキルを獲得する前と後で違いは明らかです。

LAMJで分析する文章は夏目漱石から江國香織、米津玄師まで。この文章、なんかかっこいい、なんか感動する。それを「なんか」で終わらせず、具体的にどの部分が特に心に響くんだろう?なぜ?どんな言葉の技・スキルのおかげで「かっこいい」「感動」と思うのだろう?と考える。そして緻密にしかし柔軟に分析、議論し、技・スキルのカラクリを解明する。解明できたら自分の文章に応用して、漱石などのプロの技を自分の伝える力として取り込んでいく。

技やスキルというものは本に書いてあることを習って練習問題をやっただけでは本当の力になどなりません。技・スキルはきちんとした指導のもと、試行錯誤してカラクリを解明し、主体的に何度も使ってこそ身につくものです。LA、いっしょに学んでみませんか。

1周年ありがとうございます!—レギュラーなお題、ライトなお題

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「大人のための一生の学び場」として昨秋スタートしたRFL (Read for Life) が1周年を迎えました。

皆様のおかげです。どうもありがとうございます。

RFLは、英語の良書(翻訳のあるもの)を4ヶ月で1冊読み、英語で意見を書いたり話したりしながら大いにディスカッションする場です。

2年目に入り、お一人お一人のご事情・英語レベルにより細やかに寄りそえるよう、課題はregularとlightの2つをお出しすることに決めました。

レギュラーとライトだなんてどこぞの清涼飲料水かビールみたいじゃないか、とのお声が聞こえてきそうです。狙いはまさにそこにあります。体調や事情に応じてレギュラーかライトを選ぶ。「レギュラーだと頑張りすぎって思われそう」「ライトってダサいんじゃないか」などと思って飲み物を選ぶ人はあまりいないのではないでしょうか。

学びも同じだと思います。

一生続ける学びは短距離走じゃない。マラソンよりも、十種競技よりも複雑で長くてさまざまなスキル(とモチベーションと忍耐力とタイムマネジメンなど)が必要です。だから、その時々に応じて課題を選ぶことでより主体的な学びが手に入るのだと思います。

RFLでは今月から新しい図書
James Suzman 著 Work: A Deep History, from the Stone Age to the Age of Robots
(邦訳『働き方全史―「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生』)
に入ります。

受講生のビブリオバトルで決定した1冊です。

「仕事」「働くこと」は自分のアイデンティティの一部であり、生きる目的である—そう感じている大人は多いのではないでしょうか(私もその1人かもしれません)。人間はそもそも「働く」ものとして出来ているのでしょうか。遠い昔の先祖は、どこまで働くことを重んじんたのでしょうか。「働く」の定義は時代とともにうつろいます。仮に、働くことを重要視しない社会があったとしたら、そこはどんな世界でしょうか—そんなことを大人(大学生・専門学校生も大歓迎)の皆さんと話し合っていきます。

より詳しくは、そしてお申し込み・お問い合わせはこちらからお願いいたします。