英会話のルール:結論は先、背景は後

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

ひとつ前の記事「英語を話すときの、はずかしいという気持ち」に関しては、たくさんの方から意義深いコメントをいただきました。どうもありがとうございます。拝読しながら感じたことは、もしかしたら「はずかしい」と思うのは男性よりも女性の方が多いのではないか、ということです。あくまでも仮説(思いつき)なので、リサーチしてみたいと思っています。結果報告まで、しばらくお待ちくださいね。

今日のテーマは、英語を話す際に気をつけたい「話す順序」です。日本語で話す場合、状況やその人の性格にもよりますが、背景→結論、という順序で話すことが多いと思います。たとえば、会社や学校に遅刻した場合。「○○線で事故がありまして(背景)、遅くなりました。すみません(結論)」という流れはポピュラーだと思います。

一方、英語はどうかというと、逆ですね。 “Sorry I’m late. There was an accident on the ○○ Line.”という具合に、結論→理由/背景、という順序が多いと思います。

英語を話す上では「結論を先に言い、背景は後から述べる」という順序が非常に大切です。なぜ大切なのか、という理由のひとつには、「相手のストレスを少なくできるから」ということがあると思います。「言いよどみのススメ」でも述べましたが、英会話は、当事者同士が作り上げていく共同作業、という側面があります。つまり、結論を先に言う=相手に自分の話の先を見せてあげる=「この話はどこに行き着くんだろう」というストレスを相手に感じさせない、という大きな利点があるのです。さらに言うと、英語の世界は結論というものを重んじる文化、とも言えると思います(「結論」は critical thinking の重要要素のひとつです)。

ネイティブの中には、「日本人は結論が最後まで出てこないことが多く、中には最後まで結論を言わない人もいる」と言う人も少なくありません。結論を言わないということは、彼らにしてみれば「何を言っているかわからない」ということにもなります。

さて、「遅刻してすみません」程度の短さの英文であれば、たとえ結論を後回しにしたとしても、相手(ネイティブ)はさほど困惑しないかもしれませんが、例えば、以下のように長いものになるとどうでしょうか。

There was an accident on the ○○ Line, so I had to take a different route. The first train arrived, but it was so crowded I let it go. I took the second train, and that’s why I’m late. I’m sorry.

「事故があった」→「いつもと違うルートにせざるを得なかった」→「最初の電車は混んでいたのでやり過ごした」→「二台目に乗った」→「だから遅れた」→「すみません」という順序で話されています。結論部分の「すみません」という箇所は、最後になってようやく登場していますね。

こんなまわりくどい話し方をされたらネイティブじゃなくたってイライラしちゃう、と思う方もあるかもしれませんが、実はこれ、私が実際に(複数回)耳にしたことのある、日本人による英文のパターンなんです。

無意識のうちに結論を先送り(あるいは言わずじまい)にしてしまうことは、けっこうあるようです。たとえば、Do you agree with his idea?(彼の案に賛成ですか)と尋ねられた場合。これが学校の試験問題ともなれば、おそらくほとんどの人がまず Yes/No で答えるところから始めると思います。ところが、実生活になると、yes/no question をふられているにもかかわらず、I think it’s probably too early to think about it.(おそらくこういうことを考えるのは時期尚早なのでは)という具合に、自分の思い入れの強い背景から話し始めるケースが意外にも多いのです。こう言っただけでは、賛成なのか反対なのか、わからないですよね。

次に英語を話す際には、結論を先に言う、ということを意識してみてください。今まで色々な場でこの点を指導して実証済みなので言えることですが、順序を変えるだけで、英文がぐっと引きしまりますよ。

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