言ってはいけないこと

 小学生の考える力と伝える力を伸ばす「コミュニケーション能力プログラム プライマリー(初級コース)」(隔週、全10回)2期生の募集は、おかげさまをもちまして定員に満ちたため、締め切らせていただきました。夏には3期生の募集を予定しておりますので、今回惜しくももれてしまわれた方、申し訳ございませんが、今しばらくお待ち下さいますか。よろしくお願いいたします。
☆ Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです。
——————————————————————————————————————————————

こんにちは。Wonderful Kidsの狩野みきです。

Wonderful Kidsには、小学生と一緒に「古事記」を読み進めるクラスがあります。

このクラスを始めたのは去年の夏。子どもたちは古事記が大好きで、中には、今まで読んだお話を全てそらんじている「古事記博士」もいるほどです。

日本の神さまたちの抱腹絶倒のお話「神代篇」はすでに終了し、今は、歴代の天皇のお話「人代篇」を読んでいます。

その古事記クラスでつい先日、こんなことがありました。

子どもたちにはよく、「登場人物分析」(文学の授業などで行なう、いわゆる character analysis ですね)をさせるのですが、先日のお話に出てきたのは、人の言うことを素直に聞くのは得意だけれど、歌を理解することは苦手、という人物。

この人ってどんな人だと思う?と子どもたちに問いかけると、いつもは元気よく答えてくれる小学3年生の男の子が、モジモジと困った顔をしていました。

どうしたの?と尋ねると、やはり、モジモジ…

しばらくすると、気まずそうに「だって、言っちゃいけないことだと思うから…」と言ってきました。

「じゃあ、私にだけ聞こえるように言ってくれる?」と促してみると、その男の子が言うには、

「この人、頭の悪い人だと思う…」

それも、驚くほど小さな声で、申し訳なさそうに言うのです。

相手が登場人物だろうと「『頭が悪い』と言ってはいけない」と思うその心根のやさしさに、感動したりかわいらしいと思ったり。この男の子の「分析」は解釈としては的を射たものなのですが、でも、その「分析」を口にするまでに、本人の中ではものすごい葛藤があったのですよね。にもかかわらず無理矢理言わせてしまったことに、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。やさしいね、無理に言わせちゃってごめんね、とあわてて謝りはしたのですが…

いつも色々な大事なことを教えてくれる子どもたち。でも、今回は頭をガツンと殴られた気がしました。

きちんと考えること。自分の意見を持つこと。それを伝えること。どれも、「大事なこと」として子どもたちにいつも話していることです。でも、きちんと考えて行き着いた答えが「言っちゃいけないこと」の範疇だと本人が思ったとしたら、子どもたちにはどう指導してやればいいのか。子どもたちのやさしい心を尊重することと、「意見」を言うよう促すこと。どうやって折り合いをつけていくべきなのか。

課題がまた一つ、増えました。

コメントはこのサイト上のコメント・ボックス、あるいは、Wonderful☆Kidsのフェイスブックページに寄せていただけるとたいへん嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。