交渉術でも、説得する力でもない、「伝える力」

Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです!
Wonderful☆KidsについてのTEDトークの全文(英文)はこちら
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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

Wonderful☆Kids では、critical thinkingという、アメリカでは幼稚園から教えられている思考法をベースとした「考える力」を子どもたちに教えています。

考えることを通して、子どもたちに最終的に身につけてもらいたいのは「生きる力」です。この生きる力を支えている5つの要素とは…

自信
自分はすばらしい存在だと思えること
思いやり
思いを伝える力
知識を活かす力

だと考えています。

「自信」については以前(こちら)、そして「思いやり」については前回(こちら)このブログで書きましたが、今回は「思いを伝える力」について書きたいと思います。

思いを伝える力とは、何でしょうか。

それは、ボク・私はこんなことを思っているんだ、ということを相手に伝えることです。交渉するためでも、主張を通すためでもなく、とにかく「そんな風に思っていたんだね」と相手に、自分のことを理解してもらうこと。

自分の伝えたい「思い」は、考えることによってより伝わりやすい形となっていくと思います。

Wonderful☆Kids では、考えることを通して「自分の思いを伝えるアクティビティ」を行なっていますが、これは、思いを伝えるためには独りよがりであってはいけない、ということを子どもたちに体感してもらうためです。

例えば、ピアノのお稽古をやめたい、と思っているAちゃん。ママに勇気をふりしぼって「やめたい」と言ったとします。でも、「やめたい」の一言だけでは、Aちゃんが本気でやめたいと思っているのか、気まぐれなのか、ママにはわかりづらいですよね。

自分の思いを他の人に伝えるためには、まずは自分自身がその「思い」についてしっかりと理解している必要があります。自分の本当の思いは何なのか、ということですね。ワタシ(=Aちゃん)は本当にピアノをやめたいと思っているのかな。どうしてやめたいんだろう。ピアノがキライだから?なんでキライなのかな。この間先生に叱られたから?全然うまくならないから?他にしたい事があるから?…などなど。

考えを深めて「本当の思い」を知るためには色々な方法がありますが、その中でもとりわけ大事なのが「どうして?」と問うことです。「思いを伝えるためのアクティビティ」では、私や、まわりの友だちが「どうして?」と聞いて、子どもたちの考えを引き出しやすくしています。

「どうして?」と考え続けていくと、ピアノをやめたい気持ちの奥底には、例えば「私はピアノじゃなくてサッカーがしたい」という気持ちがあること、さらに、サッカーをしたいのは、(例えば)澤選手をテレビで見て感動したから、などの理由があることに気づきます。この「どうして?」という問いがとても大事だということ、そして、相手に自分のことをもっと理解してもらうためには理由を言った方がいい、ということに子どもたちは気づいていくのです。

説得するためではなく、「ボク・私ってこんな人間」と相手にわかってもらうためにきちんと伝える。どんな伝え方をすれば相手がより理解してくれるのか、考える。

友だちや家族とわかり合って生きていくための、大事なたしなみだと思います。