月別アーカイブ: 2013年2月

スポーツと、中高生と、考える力

☆ 小学生の考える力と伝える力を伸ばす「コミュニケーション能力プログラム プライマリー(初級コース)」(隔週、全10回)2期生の募集は、おかげさまをもちまして定員に満ちたため、締め切らせていただきました。夏には3期生の募集を予定しておりますので、今回惜しくももれてしまわれた方、申し訳ございませんが、今しばらくお待ち下さいますか。よろしくお願いいたします。
 Wonderful☆Kidsは、子どもたちの考える力を伸ばし、「生きる力」を伸ばすスクールです。
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こんにちは。Wonderful Kidsの狩野みきです。

NHKの「クローズアップ現代」は、ファンの方も多いと思います。私も時々見るのですが、昨夜の「 “体罰” なぜ繰り返されるのか」は印象に残りました。

昨夜は、バスケットボール部で体罰を受けた男子生徒が自殺した事件に関連して、「指導する上で体罰が必要なのか」という問題をとりあげていたのですが、番組内では、智弁和歌山高校・野球部の高嶋仁監督が紹介されていました。

智弁和歌山は言わずと知れた、野球の強豪校。春夏の甲子園の常連でもありますよね。

高嶋氏は指導する際には、「あれやれ」「これやれ」と生徒たちに一方的に命令することはしない、と話していました(ということは、野球の世界では「あれやれ」方式が当たり前になっているのかなあ、と深読みもしてしまいましたが)。氏は、こうも言っていました:

「なんでこの練習をしなければいけないのか、きちんと部員に理解させることが大事なんです。強制はダメですよ」

生徒たちに主体的に考えさせることによって、考えて動くことの重要性を説いている、ということですよね。智弁和歌山の詳しい練習内容はわかりませんが、優れた身体能力に「考える力」が加われば、鬼に金棒なのではないかと想像します。

日本のスポーツ界は「考える力」をあまり重視しない、とはよく聞きますが、でも、そのような環境も徐々に変わってきているようです。最近のサッカー教育には「考える力教育」が入り込んでいる、という話をつい先日、ニュースでも見ました。

そのニュース番組では、サッカー選手を目指している中高生たちが、とある絵画をめぐって色々なことを考えてディスカッションをしている様子が報じられていました。キャスターの女性が、「こんなことをやって、サッカーに何が関係あるのかなぁって思っちゃいますよね」と驚いた様子でコメントしていたのですが…

一見、サッカーとは何の関係もない「考える力」。でも「考える力」は、一見何の関係もなさそうなところにこそ、威力を発揮するのではないかと思うのです。

「考える力」は学力アップのためだけにあるのではない、というのが持論です。自分にとって「大事なこと」をもっと楽しく、もっと充実したものにしてくれる不思議なパワー…それが「考える力」なのではないでしょうか。

そして、そんなパワーが、今の日本の子どもや中高生には特に必要なのではないか、と思っています。

中高生にとって「大事なこと」って何でしょうか。テストでいい点をとることも大事かもしれませんが、それ以外にも、学校生活や、スポーツなどのクラブ活動、友だちとのコミュニケーション、趣味、将来の夢、進路(ちょっとした恋愛も?)など、きっとたくさんありますよね。

そのような「大事なこと」をもっと充実させるためには、状況を判断して、まわりに流されずに自分で考えて自分で選択する必要があります。つまり「考える力」が必要なんですね。考えた後は、地道に行動に移したり、思い切ってチャレンジしたり、皆と対話して前に進んだり…その中で、失敗もたくさんすると思います。でも、自分できちんと考えた上で行動すれば、失敗からもより多くのことを学べるはずですし、自信や自己肯定にもつながっていくはずだと思うのです。

そのような「考える力」を育てるためには、生徒たちを指導する監督や先生がまずは「考える人」でなければいけないのだと思います。

智弁和歌山の高嶋監督は、部員のプレーの「表面」だけでなく裏面や側面など色々な面をきちんと見てやることが大事だ、と話していました。
(この場面を私がテレビで見ていたら、うちの娘がふいにやってきて、「色んな面を見るって、ママがいっつも言ってることだ」とつぶやいていました。たしかにくどいぐらいにいつも言っている気がします…苦笑)

物事を多面的に見ることのできる監督ってすばらしいですよね。

こういう指導者が増えれば、体罰もいじめも減るのでしょうか。

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言ってはいけないこと

 小学生の考える力と伝える力を伸ばす「コミュニケーション能力プログラム プライマリー(初級コース)」(隔週、全10回)2期生の募集は、おかげさまをもちまして定員に満ちたため、締め切らせていただきました。夏には3期生の募集を予定しておりますので、今回惜しくももれてしまわれた方、申し訳ございませんが、今しばらくお待ち下さいますか。よろしくお願いいたします。
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こんにちは。Wonderful Kidsの狩野みきです。

Wonderful Kidsには、小学生と一緒に「古事記」を読み進めるクラスがあります。

このクラスを始めたのは去年の夏。子どもたちは古事記が大好きで、中には、今まで読んだお話を全てそらんじている「古事記博士」もいるほどです。

日本の神さまたちの抱腹絶倒のお話「神代篇」はすでに終了し、今は、歴代の天皇のお話「人代篇」を読んでいます。

その古事記クラスでつい先日、こんなことがありました。

子どもたちにはよく、「登場人物分析」(文学の授業などで行なう、いわゆる character analysis ですね)をさせるのですが、先日のお話に出てきたのは、人の言うことを素直に聞くのは得意だけれど、歌を理解することは苦手、という人物。

この人ってどんな人だと思う?と子どもたちに問いかけると、いつもは元気よく答えてくれる小学3年生の男の子が、モジモジと困った顔をしていました。

どうしたの?と尋ねると、やはり、モジモジ…

しばらくすると、気まずそうに「だって、言っちゃいけないことだと思うから…」と言ってきました。

「じゃあ、私にだけ聞こえるように言ってくれる?」と促してみると、その男の子が言うには、

「この人、頭の悪い人だと思う…」

それも、驚くほど小さな声で、申し訳なさそうに言うのです。

相手が登場人物だろうと「『頭が悪い』と言ってはいけない」と思うその心根のやさしさに、感動したりかわいらしいと思ったり。この男の子の「分析」は解釈としては的を射たものなのですが、でも、その「分析」を口にするまでに、本人の中ではものすごい葛藤があったのですよね。にもかかわらず無理矢理言わせてしまったことに、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。やさしいね、無理に言わせちゃってごめんね、とあわてて謝りはしたのですが…

いつも色々な大事なことを教えてくれる子どもたち。でも、今回は頭をガツンと殴られた気がしました。

きちんと考えること。自分の意見を持つこと。それを伝えること。どれも、「大事なこと」として子どもたちにいつも話していることです。でも、きちんと考えて行き着いた答えが「言っちゃいけないこと」の範疇だと本人が思ったとしたら、子どもたちにはどう指導してやればいいのか。子どもたちのやさしい心を尊重することと、「意見」を言うよう促すこと。どうやって折り合いをつけていくべきなのか。

課題がまた一つ、増えました。

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