月別アーカイブ: 2012年2月

critical thinking を身につけると、どうなるの?

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2月4日に行なわれた「女性をもっと輝かせるための Critical Thinking」のレポートは、こちらをクリック。

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

いきなり私的なことで恐縮ですが、私の上の娘(小2)は critical thinking(以下、CT)歴5年です。娘に「レッスン」として教えたことはありませんが、物心ついた頃から私(そして夫)に日常的に CT、つまり、じっくり考えることを奨励(強要?)されてきたので、当たり前のように日々 CT をしているようです。

CT と言うと、日本ではビジネス向けの難しい論理、というイメージが強いようですが、子どものためのCT と、大人(特にビジネスピープル)のための CT とでは、その内容がかなり違います。多角的に物事を見る、という点ではどちらも同じですが、子ども対象の CT は主に「もっと他の考え方もできるんじゃないかな」「なんでかな」といった問いを大事にします(それが、先日こちらのページでも書いたように「正解は一つじゃなくたっていい」という体感につながっていきます)。

では、子どもの頃から CT を身につけるとどんないいことがあるのでしょうか。それが今日のテーマですが、「いいこと」には例えば、「『答え』の多様性を許容できる」「他者理解の素地を作ることができる」「グローバル社会に必須の能力を習得できる」があります。

いやはや、何とも固いですね…それに、こう言われても、「答えの多様性を許容できて他者理解の素地ができると、じゃあ、どんな未来が待っているの?」というイメージが描きづらいですよね。

私から CT を学んだ子どもたちはどう感じているのか知りたくなり、CT 歴5年の娘に「じっくり考えるようになると、どんないいことがあるの?」と昨夜尋ねてみました。娘の口から出てきたキーワードは…

「自信」「ハッピー」「わかる」「世界が広がる」。

色々なことが「わかる」から「ハッピー」だし「世界が広がる」と思う、と娘は言っていました。30分ほど延々と説明してくれたのですが、中でも私がいちばん嬉しかったのは、娘の、次の一言。

「じっくり考えるクセがつくと自信がつく、だって、自分で一生懸命考えたことだから、そういう考えって大切に思えるし、自信をもって言えるし」。

最近は子どもだけでなく、大人(特に女性)の方たちに CT について話させていただく機会が増えたのですが、私の話を聞いた方たちからは、よく「CT を使って自分の人生を切り開いていくのが楽しみになりました」という、なんとも嬉しいコメントをいただきます。

自信をつけて、もっと人生を楽しむための CT。「人生を楽しむ」と CT とは一瞬関係がないように思われるかもしれませんが、日本語で書かれた CT 入門書 No.1とも言える「クリティカル進化論」の著者のお一人、道田泰司さんも同じようなことをおっしゃっているんですよ。その辺りのことは、また日をあらためて、書きたいと思います。とりあえず、今日はこの辺で。

日本の子どもたちに critical thinking を教える理由

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ワークショップ「女性のためのクリティカル・シンキング」(2月4日)

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

先日、東京都中野区にある「夢のアフタースクール」新渡戸文化アフタースクールにて、小学生対象の critical thinking(以下、CT)のレッスンをしてきました。

集まってくれたのは CT は初めて、という2年生と3年生の男の子たち。元気いっぱい、一生懸命考える姿は本当にかわいらしく、また頼もしくもありました。(レッスンの様子は、アフタースクールのこちらのサイトに詳しく書かれています。)

私は子ども相手に CT レッスンを始める前には必ず「これからやることは学校の勉強とは違って、正解は一つとは限らないの。だから、間違えてたらどうしよう、なんて考えないでね」としつこく言います。

なぜかと言うと、以前このブログでも書きましたが、日本の子どもたちは、正解をはじき出すことを第一に考える、いわゆる「正解主義」の影響が決して小さくないように思えるからです。

私がしつこく言ったせいもあり、男の子たちは自分たちだけの「答え」を出そうと皆一生懸命がんばってくれました。一方で、誰かが他の子どもの発言に対して「正解!」とか「ピンポーン!」と言うと、言われた子どもがホッとした表情を見せることも…「正解」という響きが、子どもたちにとってどれだけの「価値」があるのか、あらためて考えさせられました。

なぜ日本の子どもたちに CT を教える必要があるのですか、とよく聞かれます。理由はたくさんあります。でも、いちばんの理由は「正解は一つじゃなくたっていい」ということを体感してもらいたいから、ということです。

1+1を「3」と答えるのは困ります。でも、いわゆる「勉強」の中には、多様な意見を許容すべき領域がもっとあるはずだと思うのです。正解はしばし置いておいて、もっと子ども一人一人の意見を大事にしてやる場があってもいいと思うのです。そもそも、世の中は正解がいっぱいだし、正解がないことだってあるんですものね。

以前、小学2年生の子どもたちに「ピラミッドってどうやって作ったんだと思う?」と尋ねたところ、「石を抱えた人が、跳び箱の時に使うようなジャンプ台に乗ってピラミッドの上の方まで飛ばしてもらった」「ラクダを交互に重ねていって、ハシゴ代わりにした」などの答えが返ってきました。

「正解」はもちろん違います(今までの研究によると、違うということになっているようです)。それでも、いいんです。自分が持っている知識(例えば、ちょっとした力学的、歴史的知識)や連想(例えば、跳び箱の授業)を総動員して、あれこれ考えてみる。友だちの意見を聞いて、別の考え方を肌で感じる。正解なんて関係ないや、と思える場がある。色々な「正解」があるんだな、と理解することが、他者理解を生むとも思うのです。

「考えるって楽しいね」と子どもが感じ、さらには、ピラミッドは実際どうやって作ったのかな、調べてみよう、と好奇心の新しい扉をひとつ開けてくれれば、本当に嬉しいです。

アフタースクールで出会った男の子たちは、どう感じてくれたでしょうか。