月別アーカイブ: 2011年9月

「結論は先」続編:本題も先?

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

ひとつ前の記事「英会話のルール:結論は先、背景は後」にはたくさんの反響をいただきました。どうもありがとうございます。皆さまのコメントはブログを続けていく上での大きな励みでもあり、また、貴重な刺激でもあります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

<結論→背景>という順序で話をすると、話の先が見えやすくなる、という話を前回の記事で書きました。結論を先に言うことによって「この話はどこに行き着くのか」という不要なストレスを相手に与えない、ということですね(あくまでも英語文化における話ですが)。

英語には、話の先を見えやすくしてあげる表現がたくさんあります。that reminds me (それで思い出したけど)、sorry to change the subject(話題を変えて悪いんだけど)before I forget(忘れる前に言っておくね)などの前置き表現、そして、I have three points to make.(要点は3つあります)といった予告的な表現など。このような表現を聞けば、「ああ、これからこの人は○○な話をするのか」という具合に、相手は話の方向性が見えるわけです。ちなみに、日本語にも同様の表現はありますが、英語ほどは頻繁に使われていないように思います(この辺りにも、「あ・うん型」と「言葉でわかり合う型」のコミュニケーション・スタイルの違いを感じます)。

相手のストレスをなるべく減らすように話す、ということをつきつめていくと、私はいつも「はたして本題にすぐ入ることが相手のストレス軽減につながるのか」ということを考えます。相手の時間を無駄に使わない=相手にストレスを与えない、という前提のもとに、いきなりすぱっと本題に入るべきかどうか。ケースバイケースと言ってしまえばそれまでですが、悩むところです(ちなみにケースバイケースという言葉は和製英語ではなく、れっきとした英語です)。

結論を先に言うことを好む英語文化でも、この点については意見が分かれるようです。アメリカにおける職場のコミュニケーション・スタイルをリサーチした社会言語学の研究結果によると、男性はさっさと本題に入ってもらうことを好む人が多く、女性はすぐに本題に入らない方が居心地がよいと思う人が多いそうです。だからといって、男性のペースに合わせようとして(あるいはその他の理由で)女性がすぱっと本題に入ると「あの人は女性らしくない」と陰口(?)をたたかれることもあるというのですから、アメリカ人もたいへんです。

相手にストレスを与えない話し方とはすなわち、相手がスルッと理解できるような話し方だと思います。相手にスルッと理解してもらうためには、相手の立場を十分に考える必要があります(ある程度想像力の勝負なので限界はあると思いますが)。実はこの、相手の立場を十分に考える、というのは critical thinking と密接につながっていくんです。どうつながっているか…は、また別の機会に書きたいと思います。

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英会話のルール:結論は先、背景は後

こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

ひとつ前の記事「英語を話すときの、はずかしいという気持ち」に関しては、たくさんの方から意義深いコメントをいただきました。どうもありがとうございます。拝読しながら感じたことは、もしかしたら「はずかしい」と思うのは男性よりも女性の方が多いのではないか、ということです。あくまでも仮説(思いつき)なので、リサーチしてみたいと思っています。結果報告まで、しばらくお待ちくださいね。

今日のテーマは、英語を話す際に気をつけたい「話す順序」です。日本語で話す場合、状況やその人の性格にもよりますが、背景→結論、という順序で話すことが多いと思います。たとえば、会社や学校に遅刻した場合。「○○線で事故がありまして(背景)、遅くなりました。すみません(結論)」という流れはポピュラーだと思います。

一方、英語はどうかというと、逆ですね。 “Sorry I’m late. There was an accident on the ○○ Line.”という具合に、結論→理由/背景、という順序が多いと思います。

英語を話す上では「結論を先に言い、背景は後から述べる」という順序が非常に大切です。なぜ大切なのか、という理由のひとつには、「相手のストレスを少なくできるから」ということがあると思います。「言いよどみのススメ」でも述べましたが、英会話は、当事者同士が作り上げていく共同作業、という側面があります。つまり、結論を先に言う=相手に自分の話の先を見せてあげる=「この話はどこに行き着くんだろう」というストレスを相手に感じさせない、という大きな利点があるのです。さらに言うと、英語の世界は結論というものを重んじる文化、とも言えると思います(「結論」は critical thinking の重要要素のひとつです)。

ネイティブの中には、「日本人は結論が最後まで出てこないことが多く、中には最後まで結論を言わない人もいる」と言う人も少なくありません。結論を言わないということは、彼らにしてみれば「何を言っているかわからない」ということにもなります。

さて、「遅刻してすみません」程度の短さの英文であれば、たとえ結論を後回しにしたとしても、相手(ネイティブ)はさほど困惑しないかもしれませんが、例えば、以下のように長いものになるとどうでしょうか。

There was an accident on the ○○ Line, so I had to take a different route. The first train arrived, but it was so crowded I let it go. I took the second train, and that’s why I’m late. I’m sorry.

「事故があった」→「いつもと違うルートにせざるを得なかった」→「最初の電車は混んでいたのでやり過ごした」→「二台目に乗った」→「だから遅れた」→「すみません」という順序で話されています。結論部分の「すみません」という箇所は、最後になってようやく登場していますね。

こんなまわりくどい話し方をされたらネイティブじゃなくたってイライラしちゃう、と思う方もあるかもしれませんが、実はこれ、私が実際に(複数回)耳にしたことのある、日本人による英文のパターンなんです。

無意識のうちに結論を先送り(あるいは言わずじまい)にしてしまうことは、けっこうあるようです。たとえば、Do you agree with his idea?(彼の案に賛成ですか)と尋ねられた場合。これが学校の試験問題ともなれば、おそらくほとんどの人がまず Yes/No で答えるところから始めると思います。ところが、実生活になると、yes/no question をふられているにもかかわらず、I think it’s probably too early to think about it.(おそらくこういうことを考えるのは時期尚早なのでは)という具合に、自分の思い入れの強い背景から話し始めるケースが意外にも多いのです。こう言っただけでは、賛成なのか反対なのか、わからないですよね。

次に英語を話す際には、結論を先に言う、ということを意識してみてください。今まで色々な場でこの点を指導して実証済みなので言えることですが、順序を変えるだけで、英文がぐっと引きしまりますよ。

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