投稿者「miki」のアーカイブ

「伝える」ことの、むずかしさ、たいせつさ

<お知らせ>

3月2日、TEDxTeachers@Tokyoにて「子どものためのCritical Thinking Project」について話させていただきます!

facebookページをこちら作りました!

小学生対象の土曜クラス、始まりました!詳しくは、こちらをクリック。

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

今、池上彰さんの「伝える力」という本を読んでいます。小学生対象の「コミュニケーション能力プログラム」が今週末から始まるという事情もあって読み始めたのですが、この本には色々と考えさせられます。

NHKの「週刊こどもニュース」で(なんと11年間も)子ども相手にニュースの解説をし続けた池上さんの本書には、人に何かを伝えるためには「まず自分自身がしっかり理解すること」が必要だ、と書かれています。

「うろ覚えや不正確な知識、浅い理解では、相手がわかるはずがありません」という池上さんの言葉は、彼の説明の「わかりやすさ」を考えるとき、胸に深くしみわたります。

私も職業上、説明することが多いのですが、実は、私にとって「伝える」のがいちばん難しいのは、「critical thinking の良さ」なんです。

日本の子どもの教育の場ではまだまだ critical thinking という言葉自体を聞いたことがない、という方もいらっしゃるので、そもそも critical thinking(CT)とは何か、なぜ「良い」のか、と説明する機会は存分にあるのですが…

相手が見たことも聞いたこともないものを説明する場合、それが「モノ」であれば実物を見せたり写真を見せればそれですみますが、「CT の良さ」のような「ガイネン」の場合はそうはいきません。

CT の良さをより多くの人に理解してもらいたくてあれこれ説明すればするほど、「なんとなくはわかったけど…」と、相手に消化不良感を与えてしまうこともあります。

訳のわからないガイネンを本当に理解してもらうためには、まずは池上さんが言うように「自分自身がしっかり理解する」ことが大事なのですよね。CT については「しっかり理解」できているつもりの私ですが、「良さ」の部分については、「あれも、これも」と欲張りすぎなのかもしれません。

自分の説明がどれだけわかりやすいものか判断する時の基準として、私はよく大学生に、「もしも、幼稚園児を相手に説明するとしたら、どんな風にする?」「もしも英語で説明するとしたら、どうなる?」という問いかけをします。幼稚園児相手には難しい言葉や概念は使えないので説明がおのずとシンプルになりますし、英語その他の外国語の場合、表現が限られることが多いのでシンプルな伝え方になるからです。

「シンプルな説明」は本当の理解の上に初めて成り立つのだと思います。シンプルな説明に行き着くまでのプロセスにおいて、何が必要で何が不要か、説明語句や情報をふるいにかけなければならず、その「ふるい」は、理解度が深まれば深まるほど、良質な、目の細かいものになっていくと思います。

同時に、相手の年齢や性別、職業、関心事、与えられた時間などを考慮すること—つまり、聞く側の相手の立場に立ってみることも、とても大事ですよね。私が、そのガイネンについて何も知らなかったとしたら、何から聞きたいと思うのか、どこまで教えてもらいたいと思うのか。

本当に伝えたいのなら、徹底的に理解して、相手の立場に立って考えること。理屈の上ではわかっているのですが、実践に移すのは本当に難しいです。学生に「シンプルな説明を」と言う前に、もっと私自身が精進しなければいけないです(反省)。

このブログで、何人の方に CT の良さが伝わっているでしょうか。

critical thinking を身につけると、どうなるの?

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2月4日に行なわれた「女性をもっと輝かせるための Critical Thinking」のレポートは、こちらをクリック。

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

いきなり私的なことで恐縮ですが、私の上の娘(小2)は critical thinking(以下、CT)歴5年です。娘に「レッスン」として教えたことはありませんが、物心ついた頃から私(そして夫)に日常的に CT、つまり、じっくり考えることを奨励(強要?)されてきたので、当たり前のように日々 CT をしているようです。

CT と言うと、日本ではビジネス向けの難しい論理、というイメージが強いようですが、子どものためのCT と、大人(特にビジネスピープル)のための CT とでは、その内容がかなり違います。多角的に物事を見る、という点ではどちらも同じですが、子ども対象の CT は主に「もっと他の考え方もできるんじゃないかな」「なんでかな」といった問いを大事にします(それが、先日こちらのページでも書いたように「正解は一つじゃなくたっていい」という体感につながっていきます)。

では、子どもの頃から CT を身につけるとどんないいことがあるのでしょうか。それが今日のテーマですが、「いいこと」には例えば、「『答え』の多様性を許容できる」「他者理解の素地を作ることができる」「グローバル社会に必須の能力を習得できる」があります。

いやはや、何とも固いですね…それに、こう言われても、「答えの多様性を許容できて他者理解の素地ができると、じゃあ、どんな未来が待っているの?」というイメージが描きづらいですよね。

私から CT を学んだ子どもたちはどう感じているのか知りたくなり、CT 歴5年の娘に「じっくり考えるようになると、どんないいことがあるの?」と昨夜尋ねてみました。娘の口から出てきたキーワードは…

「自信」「ハッピー」「わかる」「世界が広がる」。

色々なことが「わかる」から「ハッピー」だし「世界が広がる」と思う、と娘は言っていました。30分ほど延々と説明してくれたのですが、中でも私がいちばん嬉しかったのは、娘の、次の一言。

「じっくり考えるクセがつくと自信がつく、だって、自分で一生懸命考えたことだから、そういう考えって大切に思えるし、自信をもって言えるし」。

最近は子どもだけでなく、大人(特に女性)の方たちに CT について話させていただく機会が増えたのですが、私の話を聞いた方たちからは、よく「CT を使って自分の人生を切り開いていくのが楽しみになりました」という、なんとも嬉しいコメントをいただきます。

自信をつけて、もっと人生を楽しむための CT。「人生を楽しむ」と CT とは一瞬関係がないように思われるかもしれませんが、日本語で書かれた CT 入門書 No.1とも言える「クリティカル進化論」の著者のお一人、道田泰司さんも同じようなことをおっしゃっているんですよ。その辺りのことは、また日をあらためて、書きたいと思います。とりあえず、今日はこの辺で。